私が尊敬している人は、新卒で入社した会社の当時の部長だ。
部長は真面目で礼儀正しく、時には「ユーモアとは何か」という事を議論したりする面白い人だった。
他部署の部長達からはなぜか評判が悪かったが、私には不思議な程魅力的な人物だった。
離婚して父親がいない私は、親のように思っていたのかもしれない。
そんな部長がある時本を勧めてきた。
それが、「生き方」稲盛 和夫著。
〈冒頭〉
私たちはいま、混迷を極め、先行きの見えない「不安の時代」を生きています。
豊かなはずなのに心は満たされず、衣食足りているはずなのに礼節に乏しく、自由なはずなのにどこか閉塞感がある。
やる気さえあれば、どんなものでも手に入り何でもできるのに、無気力で悲観的になり、中には犯罪や不祥事に手を染めてしまう人もいます。
当時の私は20代前半だったが、冒頭からとても衝撃を受けて一気に読んだ。
より良く生きるためにはこうすればいいよ。
それがとても親切丁寧に書かれていた。
ぜひ実践しようと心に決めたはいいものの、自分だけがなぜ人に優しくせねばならんのだ、全然見返りがないし報われないじゃないかといつからかやめてしまっていた。
尊敬する部長や著者が示してくれた道を、ありがたく辿れるような自分になりたい。
「生き方」を今一度読み直すタイミングが来たのかもしれない。